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地元住民×企業×自治体によるオープンイノベーション「柏の葉ッカソン」

2015年8月29日、つくばエクスプレス(TX)柏の葉キャンパス駅最寄りKOILで、地元住民×企業×自治体によるオープンイノベーションイベント「柏の葉ッカソン」が行われた。そのイベントをレポートします。

米国ではオバマ政権後、ビッグデータ活用が提唱され、行政などの情報を公開する動きが加速しました。公開された情報は市民の力で利用され、様々な改善が行われています。例えばCode for americaという団体は、Webデザイナーやエンジニアを各地方自治体にチームとして派遣し、課題・問題点をヒアリングした上でWebサービスやアプリを作成しています。これにより、例えば学校の申請書類がオンラインでできるようになったり、様々なメリットを市民が享受できるようになっています。

こうしたひとつの企業や団体にとらわれることなく、様々な人たちが混じり合って知見を共有しあい、新しいサービスなどを開発する試みをオープンイノベーションといいます。変わるのを待つのではなく、自らが働きかけて変えていくというポジティブなムーブメントは世界的に拡がりを見せています。

こうした背景下、2015年8月29日、三井不動産グループとリクルート、千葉県柏市が合同で行ったのがオープンイノベーションプロジェクトとして「Smart City Innovation Program」を実施しました。題して「柏の葉ッカソン」。

地元を変えていくことを、地元住民が本気で考え、それを企業が手助けをするという意味では、これもまた新しい動きといえるのではないでしょうか。

同日のイベントでは、事前に募集をかけていた地元住民のビジネスアイデアの優勝者発表と、リクルート社内で応募のあったビジネスアイデアを、相互でディスカッションする内容で、会場は熱気で包まれていました。

会場は柏の葉キャンパス駅最寄りKOIL(柏の葉オープンイノベーションラボ)

ビジネスアイデア最優秀賞は「チルドレンズセンター開設」

地元住民のビジネスアイデアで最優秀賞に選ばれたのは「子育てコンシェルジュ常駐チルドレンズセンターの開設」(加藤裕希氏)。受賞理由は女性が子育てをしながら社会進出するということは社会的問題。そのプロセスの中で対応施設をワンストップで相談できる場は柏の葉キャンパス駅にはありませんでした。子育て世代の多い柏の葉キャンパス駅では需要が見込まれ、事業的にも可能性があるという理由が受賞理由。

そのほかに「子育て部門」「ヘルスケア部門」「教育部門」「その他自由テーマ部門」の各部門での優秀賞が発表され、授与式が行われました。

三井不動産レジデンシャル執行役員千葉支店長の河合淳也氏が最優秀賞者に授与

発表会のあとは、ブレスト、ブレスト、ブレスト!

発表会のあとは、ビジネスアイデアのブレストです。ブレストには、ビジネスアイデアを携えたビジネスデベロッパーたちが地域団体や住民の方々、柏市議員の方々などと一緒にアイデアについて議論をしていきます。アイデアが思い込みベースになっていないか、また柏市民が本当にその問題に対して困っていると感じているのかといった利用する側の視点からのフィードバックをもらいます。

「あの類似サービスが上手くワークしていないのはなぜ?それとどう違うの?」という鋭い指摘から、「もっとこうした方がいいのでは?」といったアドバイスまで各テーブルで議論が白熱しました。

中には、「ぜひこのサービスを柏の葉で実現させて欲しい!」と熱烈な支援をもらっているアイデアも。そうしたやり取りをボランティアのグラフィックレコーダーの方々が各アイデアの骨子をイラストで表現した模造紙に次々に書き込んでいきます。議論の後に視覚化されたものが残り、各アイデアともに課題やベネフィットがより明確になっていました。

ブレスト中は、各テーブルでグラフィックレコーディング(イラストで議事録を取る)も

トークセッションではさらに議論の深まりも

熱いブレストを終えたあとは、トークセッション。三井不動産のベンチャー共創事業部の光村圭一郎氏やリクルートホールディングス MediaTechnology Lab.室長の麻生要一氏らが登壇し、ブレストをした全体の内容についてトークセッションを繰り広げました。また優れていると名前が挙がったビジネスアイデアについては、「市民の皆さんの行動が変わる契機となりそうと感じた」など具体的な評価ポイントをその場で共有し、市が実施した過去の施策の結果や課題も交えながら、SNS やデジタルサイネージとのリンクといったさらにそのビジネスアイデアを進化させる議論にも発展しました。

アイデアを様々な立場の人達が議論を重ね、よくしていこうとすることは、そのプロセス自体が参加している人達を変えていくことも特徴のひとつです。最初は自分の思いやアイデアをどう表現していいのか、そして相手のアイデアをどう自分が感じているかを伝えればいいのか、なれていない人達の戸惑いも感じられました。しかし後半になればなるほど相手の意見を尊重しあいながら、自分の知見を提供しようという思いが会場を包み込んでいきました。

エンリコ・モレッティはその著書『年収は「住むところ」で決まる—雇用とイノベーションの都市経済学』で、次のように述べています。

ーー都市にハイテク関連の雇用が一つ創出されると、最終的にその都市の非ハイテク部門で五つの雇用が生まれる。雇用の乗数効果はほとんどの産業で見られるが、それが最も際立っているのがイノベーション産業だ。その効果は製造業の三倍にも達する。なぜそうなるのかは後述するが、ここでは、この事実が地域の経済発展戦略にきわめて重要な、そして意外な意味を持つことを指摘しておきたい。

柏の葉キャンパスKOILで行われた柏の葉ッカソンに出てきたアイデアはどれもITを絡めたハイテク系のサービスがほとんど。その内容を深く議論しあう人材がそろっているこの町は、これから新しい経済発展を産んでいくのかもしれません。

自治体参加者が「本当にアイデアがほしい!」と叫んだ時には、会場全体が笑顔に

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