守谷で行われているアーカスプロジェクトは、茨城県を主催とする「芸術を通じた地域づくり」を推進する芸術文化事業。
アーカスプロジェクトのプログラム「アーティスト・イン・レジデンス」は、毎年世界中の若手アーティストの中から、公募によって3名を選出。3カ月ほど守谷に招致して、長期滞在用の住居とスタジオなどを提供することで創作作活動を支援。アーティストはその間、地域の人たちと交流しながら創作活動を行います。

2016年度に選ばれたアーティストは、エルネスト・バウティスタさん(エルサルバトル)、ガン・シオン・キンさん(マレーシア)、イェン・ノーさん(韓国)の3名。今年は過去最多となる世界89カ国656件の応募があったそうです。
レセプションではアーティストの3人が、どのように守谷で過ごしたいか豊富を語ってくれました。
「皆さんの夢を共有してもらい、夢の記憶を表現したい」エルネスト・バウティスタさん

「ペインティングとビデオで守谷の物語を作りたい」ガン・シオン・キンさん

「アーティストという立ち位置から、韓国と日本、両国の関係性について新しい考え方を見つけたい」イェン・ノーさん

レセプションには茨城県知事 橋本 昌氏や守谷市長 会田真一氏、県議会議長 小川一成氏、エルサルバドル共和国大使など、多くの方たちが出席。そこでアーカスプロジェクトを立ち上げた茨城県教育財団理事長 野口 通氏、森美術館館長・アーカスプロジェクトアドバイザーの南條 史生氏からいろいろなお話しを伺うことができました。
アーカスプロジェクト誕生のきっかけとは
アーカスプロジェクトの始まりは、東京芸術大学の取手キャンパスができたのをきっかけに、茨城県において芸術を生かした新しい街づくりができないかというのが始まりだったのだそうです。
「場所が守谷となったのは、この数年後に開通予定だったつくばエクスプレスの存在も大きかったです。東京と科学技術研究施設が揃ったつくばが一本につながるというこの沿線ならではのユニークな特徴が生かせるんじゃないかという狙いもありました。
アーティスト・イン・レジデンスは当時聞き慣れない言葉だったため、周囲の人たちに理解をしてもらうのは大変でした。このようにアーカスプロジェクトをこの地で長く続けていられるのは、海外から訪れたアーティストを歓迎し応援、サポートしようという守谷住民の方々の思いの強さもあるのではないでしょうか」。
守谷は都市でもあるし昔ながらの自然もある。住んでいる人々が国際交流をしていく上での土壌も整っていると、守谷の魅力も教えていただくことができました。

アーカスプロジェクトを立ち上げた野口 通氏
文化の出会いに大きな意義
アーティスト・イン・レジデンスというのは、ただそこで作品を創るだけでなく、そこにいる人とアーティストが会話をすることで文化との出会いが生じること。それに大きな意義がある。という南條さん。
「日本で行われているいくつかのアーティスト・イン・レジデンスの中でも、これほど長続きして安定している例はありません。これまでに世界中から参加してきたアーティストたちは、いま各地で活躍しているということもあり、アーカスプロジェクトの活動は文化外交の面でもすごく貢献していると思います」。と語ってくださいました。
2016年9月17日から開催される、KENPOKU ART 2016の総合ディレクターを務められている南條氏。今年はこれまでにアーカスプロジェクトに参加した海外のアーティストたちも多数参加し芸術祭の核となっているのだとか。

アーカスプロジェクトアドバイザーの南條 史生氏
日本で行われているアーティスト・イン・レジデンスとして、アーカスは最もレベルが高いとお話ししてくださったのは茨城県知事。

3人のアーティストたちは、8月25日から12月12日までの110日間滞在。そして、守谷の人々と交流しながら、もりや学びの里内にある「アーカススタジオ」にて制作活動を行っていきます。守谷での暮らしを受け、どのような作品が誕生するのか今からとても楽しみです。